肥満の治療に特化した医療機関である肥満外来。
多くのクリニックでは、脂肪吸引のように脂肪を直接取り除くのではなく、食事や運動の習慣を改善することでダイエットを目指していきます。
あくまでも無理のない生活習慣を模索するため、リバウンドの危険性は非常に低いですが、一方で短期的なダイエットには必ずしも向いていないなどのデメリットもあります。
この記事では、肥満外来のメリット・デメリットを紹介しましょう。
肥満外来のメリット
リバウンドのリスクが低く、肥満を根本治療できる
通常のダイエットをしている人は、極端な目標体重を設定しがち。するとダイエットの内容も過激になり、激しい運動や食事制限に頼ってしまいます。
その反動で爆食いしたり、ストレスから途中で投げ出してしまったりして、リバウンドしたことのある人は多いのではないでしょうか。
肥満外来の大きなメリットは、リバウンドのリスクが低いことです。
もちろん、クリニックの方針にもよりますが、個人の生活習慣や好き嫌いをカウンセリングした上でプログラムを考えてくれるので、無理なくダイエットを続けられます。
たとえば、過剰な食事制限には一切頼りません。
医学的・栄養学的に正しい食事を摂取することで、食生活の悪循環を断ち、太りやすくなった体質を徐々に改善していくのです。
私の通っていたメディケアダイエットの場合、好きなものを食べても良かったので、ダイエットの苦痛は大きく軽減されました。
また、リバウンドしないということは、言い換えると「一生もののダイエットスキルを身につけられる」ということ。
仮に一度痩せたとしても、健康的な食事や運動は一生にわたって続けないと意味がありません。それを身につけることこそが、本当の意味で肥満を治療することに繋がると思います。
自分の体の状態をしっかりと把握できる
肥満外来では、ダイエットの内容を決めるにあたって、さまざまな検査を行います。
具体的には、
- 血液検査
- 体脂肪・内臓脂肪の測定
- 筋肉量の測定
- 尿検査
- レントゲン
- CT
などなど。こうして体の状態を見える化し、肥満の原因を特定するのです。
検査は非常に重要で、肥満による生活習慣病の兆候などを確認できます。
さらには、体脂肪は少ないのに内臓脂肪が肥大している隠れ肥満や、ホルモン異常や遺伝子が原因の肥満もあると言われています。
しっかりと自分の体に合った方法でダイエットできるのは、肥満を改善する効率を高められるだけでなく、健康上のメリットが非常に大きいのです。
孤独感がない
ダイエットにおいて、孤独感は意外な難敵です。
自分一人での孤独なダイエットは、ちょっと痩せただけでも油断してしまい、リバウンドするケースが後を絶ちません。
そこで食事や運動を管理してくれる人がいると、気を引き締め直してくれますし、自然と「しっかりやらなきゃ」という責任も芽生えます。
また、ダイエットの停滞期に差し掛かったときの不安は、かなりの苦しさを伴います。気持ちを分かち合いたいのに、誰にも話せずにストレスを溜めてしまう人は多いでしょう。
ですが、肥満外来なら医師やカウンセラー、栄養士、薬剤師といった専門家が悩みを聞き、的確なアドバイスをしてくれます。
さらに、ダイエット中の「本当に痩せるのかな」という漠然とした不安にも、対面やメール、チャットなどで相談に乗ってくれるカウンセラーが対応。
充実のサポート体制により、ダイエット中の孤独に悩まされることはなくなります。
肥満外来のデメリット
場合によっては料金が高額になる
肥満外来の料金体系はクリニックごとにまちまちです。
これは治療の方針や内容などが、クリニックごとに、そして患者の肥満度ごとにまったく異なるから。
安ければ数万円で治療できる場合もありますが、30万円以上の予算が必要になることも少なくありません。
特に一朝一夕には痩せられない重度の肥満者の場合、通院期間も自ずと延びたり、長めに設定されたりするため、料金もかかりがちになります。
きちんと痩せられるのは大前提として、そのクリニックがリバウンドしづらい方針なのかも注目すべきポイントです。
リバウンドして治療が長期化すればするほど、結局は料金もかかってしまいますからね。
保険診療にならない場合も
肥満外来のなかには、保険適用で治療を受けられるクリニックもあります。
その条件は、
- 肥満の度合いを測る指標「BMI値」が35以上の人
- BMI値が30以上で重篤な生活習慣病のリスクが高い人
という2パターン。
ですが、肥満外来のなかには自由診療を原則としており、仮にBMI値が35以上でも保険が適用されないケースも。
また、②の人の場合、保険適用になるかどうかは医師の判断に委ねられる部分が大きいです。
もしBMI値30以上で保険適用を認められず、それでも保険診療を受けたい場合、その他のクリニックに相談してみるのもひとつの手になるでしょう。